コーンズ・エージーが販売する世界各国から選りすぐりの酪農機械。いったいどんな酪農を営む国で生まれたんだろう…と、ふと思う方も多いのでは??
これから数回に渡り、このコーナーでヨーロッパを中心にした“海外酪農情報”をご紹介します。
ヨーロッパ在住の私が、世界の酪農の「今」を、リアルな声と写真満載でリポートしますね！

酪農大国アイルランド

さて第1回目は、私の住むアイルランドの酪農（前編）をご紹介します。
アイルランドはイギリスの隣りに位置する、国土の総面積は7万km2・人口460万人という北海道とほぼ同じ規模の小さな島国です。
しかし驚くなかれ、国土のほとんどが草地の”大酪農国”なんです！

10～15℃の穏やかな気温と、とにかく毎日のように降る雨。おかげで、国土の2/3が農地として利用され、その80%が牧草地なのです。そのため、牛は年間300日も放牧での飼育が可能で、酪農にはもってこいの恵まれた条件が揃っています。

キーワードは「低コスト」酪農

この好条件を最大に活用するため、メインの飼料は青草を中心とした粗飼料で、コストのかかる輸入飼料は最小限に抑えています。
また、アイルランド酪農の生産性は牧草の生育状況に比例するため、“季節繁殖“を行う牧場がほとんどです。牧草が伸びなくなる12～2月の冬の期間を一斉に乾乳期に当てることで、3月に入ると分娩ラッシュが続き、草が生え揃う4月には泌乳期に入るという、大変、生産効率の良いシステムです。そのため、アイルランドでは、実に90％以上の酪農家が放牧を実施しています。

低コスト酪農を支える、高い「作業効率」

アイルランドの低コスト酪農を支える、もう1つのポイントは、“作業効率”です。
労働者の基本時給が高いアイルランドでは、搾乳作業に費やす人件費コストは最低限に抑えるのが一般的。
全国的に酪農規模こそ大きくありませんが、逆に小～中規模の牧場では、「1人で60頭規模を素早く搾れる搾乳機械」が求められます。そのため、ワンマン搾乳に適した“スイングパーラー”が主流になっています。

たった1人で450頭を搾乳

高い搾乳効率は、大規模な牧場でも、もちろん求められます。
当社の50ポイントロータリーパーラーを2011年から導入頂いているアシュデルファーム様。現在、たった1人の作業者が450頭を1時間～1時間半の短時間で、1日2回、搾乳しています。

アイルランドの搾乳機械メーカー「デイリーマスター」

こうしたアイルランド酪農のバックグラウンドから生まれた、デイリーマスター。
1968年に酪農家ネッド・ハーティーが1人で立ち上げた当社も、現在は従業員数350人、国内市場シェア率80％、全製造品の70％を30カ国以上に輸出するまでに成長しました。（2015年9月現在）
日本でも2005年から、実に100軒以上ものお客様にご愛用頂いています。
当社の最大の強みは、95％の部品を自社製造していること。中間コストを省くことで部品の製造コストを抑え、部品改良に迅速に対応できることも、自社製造ならではのメリットです。