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レポート


2014/02/18レポート

カナダ酪農レポート【給餌編】


厳冬期の1月(2013年)に、カナダの酪農を視察しました。
視察では、ケベック州にある取引先メーカー2社と牧場9軒を5日間で視察するハードなスケジュールでしたが、いつもと違った角度で酪農を見ることができ、メンバー一同、今後の肥やしになりました。

【視察者:コーンズ・エージー営業本部 高屋敷幸雄、国際本部 水月弘樹・橋場恭太】

カナダ酪農の基本情報

独立行政法人農畜産業振興機構 http://www.alic.go.jp/
カナダの酪農事情~牛乳乳製品の消費動向・消費拡大策を中心に~ より引用

「広大な土地を抱えながらもカナダの人口は、約3,400万人と日本の3割程度で、人口の7割は、首都オタワ、大都市トロント、モントリオールを抱える東部に集中している。2009年8月1日現在の酪農家戸数は、13,214戸と、前年度に比べ2.7%の減少となった。酪農家の戸数は、小規模層を中心として漸減傾向で推移しており、10年前(1999年)の約2万戸からは約4割減、35年前(1975年)の約8万戸と比べると6分の1以下に減少した。

 また、州別に見ると、ケベック州およびオンタリオ州の東部2州で81.2%を占めている。さらに、ケベック州だけで49.1%と、カナダの半数近く酪農家が分布している。乳用牛飼養頭数は、2010年1月1日現在98万1千頭と、ほぼ前年並みとなっているが、長期的には減少傾向にあり、この10年では、99年の115万7千頭から15.2%減少した。

 州別に見ると、ケベック州およびオンタリオ州の東部2州でカナダの69.8%を占めるが、戸数シェアより小さい。 これは、カナダの酪農家1戸当たり乳用牛飼養頭数が72頭であるのに対し、ケベック州は56頭と最も小さいためである。
ケベック州の場合、広大な土地の下、大規模な酪農経営が可能な西部の新興州と異なり、小規模な家族経営体がまだ残り、処理施設を自ら所有する経営が多く、施設の能力内で乳牛を飼養する傾向があると言われている。
また、兼業農家が多いことも小規模経営が存続している理由の一つである。しかしながら、100頭以上飼養する生産者戸数が最も多いのも同州であり、規模拡大も少なからず行われている。」引用終わり

ケベック州の酪農視察

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今回視察した牧場は、総じて家族経営が主体で、酪農に「ゆとり」が感じられました。オーナーと話をしても、労働力不足や雇用問題に直面して緊迫いる様子は感じられませんでした。

繋ぎ牛舎が多く、平均的な飼養頭数も日本と同じ位のため、最初は「日本の酪農と似ている」という印象がありましたが、視察後は、日本の酪農とは根本的に異なる面も持ち合わせていると感じました。

 


カナダの牛舎

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日本のように高いレベルの耐震強度は必要とされていなく、牛舎の構造が簡易的でした。ホスピタルエリアまで牛床マットを敷き、牛を大切にする用品への投資は惜しまないカナダのファーマーに脱帽!

現役のタワーサイロが数多く立ち並び、今でも年に200~300のタワーサイロが建築されているそうです。繋ぎ牛舎で頭数が200頭(!)という牛舎も見学しましたが、その規模でも全てタワーサイロで飼料を調整していました。

白が基調の牛舎は、洗練された素敵なデザインで、入口にレストランを併設した牛舎のロビーは、まるでホテルのようでした。(写真は複数の牧場)


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自動給餌システム

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タワーサイロから飼料を出す工程に始まり、給餌作業の自動化が進んでいました。ベルトフィーダー+定置式ミキサー+自動給餌機または給餌車の組合せが多く、信頼性の高い自動給餌システムです。

ただ、給餌は日本のように頻回給餌ではなく、1日2~3回の給餌回数が一般的のよう。「頻繁に牛を立ったり、座ったりさせたくないから」ということが理由ですが、日本の感覚では「せっかくの自動給餌がもったいない…」と感じました。


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自動ドアを越え…餌寄せロボットが稼働

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餌押しロボットJUNO150を利用する牧場では、なんとJUNOが新旧牛舎を渡り歩き、約400mの距離を走行していました。1m近い勾配をZ字走行で乗り切り、自動ドアを通過して進むという驚異的なルート設定で、1日数回の餌押し作業をこなしていました。

日本では、ここまで複雑なルート設定はまだ行ったことがなく、どんな場所でも設置してみせるカナダのLELYの創意工夫に感心しました。

←複雑なルート設定、クリックで拡大します。


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猛スピードで走行するバッテリー給餌車

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最後は、タワーサイロ+バッテリー式給餌車+自動給餌(トップドレス)の牧場を訪問しました。この牧場では、以前は24Vのバッテリー給餌車を使用していましたが、人が歩くよりも遅いスピードだったため、36V仕様のバルメタル社給餌車に入替えをしたそうです。

比重の大きなデントコーンを満載しても実に作業が素早く、オーナーは狭い通路をかすり傷ひとつ付けず、スピード全開で駆け抜けて給餌作業を見せてくれました。
※動画と仕様は一部変更されています。

 


今回の視察では、給餌関連と牛舎換気システムを中心に視察を行いましたが、カナダの酪農家の方は、酪農に誇りを持ち、技術のベースメントが非常に高いことがとても印象的でした。
様々な形態の牛舎施設を見学し、夏の猛暑対策や極寒地域の牛舎凍結対策が大いに参考になりました。


■上記 掲載製品
餌寄せロボットJUNO 製品ページ
給餌車
           製品ページ




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