カナダのSECCO(セコ)社 自動換気システムの取扱いを開始するにあたり、2013年1月に現地での視察を行ないました。
滞在中のカナダは私達が住む北海道と変わらない寒さで、日中の最高気温がマイナス9℃の日もありましたが、視察の前週は、マイナス30℃まで気温が下がった日も・・・。厳寒期の牛舎環境を確かめるには良い時期で、加えて、カナダは繋ぎ牛舎の普及率が依然として高く、繋ぎの飼養においても参考になる視察でした。
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【視察者:コーンズ・エージー営業本部 高屋敷幸雄、国際本部 水月弘樹・橋場恭太】
日本で牛舎の換気といえば、まずは「換気扇」、次に「オープンリッジ」「巻き上げカーテン」等が一般的です。
北海道のフリーストールで牛舎で一般的な「オープンリッジ」は、換気効率は良いものの、断熱効果が低く、牛舎内機器(搾乳ロボットやバーンスクレッパーなどの糞尿処理機器)の凍結の対策に、コストと時間、労力が掛かることが寒冷地での大きな課題です。
暑過ぎても、寒過ぎても、牛の能力は下がり、SECCOによると、気温が5℃を下回ると、牛のエネルギーは体温維持に回されるため、牛が活動的ではなくなり、採食量や乳量の低下につながるとされています。
また、温度だけではなく、汚れた空気も、肺炎などの疾病の原因になります。
SECCO換気システムは、温度・湿度・風向・風量・降雨を計測して、自然換気と機械換を組み合わせて、自動制御で換気します。
高い断熱効果と空気の循環で、厳冬期も真夏も牛舎内の温度と湿度を一定以上に保つことができます。
今回の視察では、厳寒期に暖房を使わなくても、本当に牛舎内が5℃以上を保ち、凍結を防げるかを確認してきました。
■主な構成品
カーテン(空気の排気と送風で開閉) 排気煙突
牛舎内換気ファン トンネル換気用ファン
■搾乳牛群:つなぎ牛舎・パイプライン搾乳(65頭)
■乾乳・育成牛群:フリーストール
個体乳量12,000kgクラスの牛を揃え、平均乳量42kgというカナダでもトップクラスの成績の牧場です。
特徴は、給餌通路を挟んで、つなぎ牛舎とフリーストールの両方を備えたオールインワン牛舎であること。治療・乾乳・育成・哺乳牛の全てを一棟で管理しているので、月齢ごとの牛の移動や群の入替えが非常に簡単です。
自然換気が十分機能していて、壁際に結露で出来る、逆さ氷柱は見られません。
牛舎内は、匂いも湿気も少なく、「牛舎環境を良くすることが最も重要」と言うオーナーの意見通り、快適な環境でした。
ホスピタルエリアにも通路マットを敷き、牛を大切にする設備には投資を惜しまないオーナーの姿勢に脱帽です。
驚異的な能力を揃えた牛群と平均産次数3回以上という好成績をもたらすのは、管理技術はもちろんですが、換気システムも貢献していると考えられます。
■搾乳牛群:フリーストール牛舎・ミルキングパーラー搾乳
フリーストール牛舎の他、パーラー待機場にもSECCOカーテンを導入している牧場です。
パーラー室・待機場・進入通路・牛舎を仕切るための壁も、シャッターも
無いにも関わらず、牛舎内は5℃を保ち、どこも凍結していませんでした。
床暖房や温風暖房システム、電熱ヒーターが無い中、牛舎から離れて暖が取れないパーラー帰経路・進入通路も凍結は起きず、この厳しい条件下で、換気システムだけで暖かく出来るということを確認しました。
■搾乳牛群:つなぎ牛舎・パイプライン搾乳(60頭)
■乾乳育成牛群:フリーストール
日本でも広く普及している対尻式つなぎ牛舎とフリーストール牛舎を1つ屋根の下にL字型に配置して、搾乳・育成・哺乳牛を飼養するオールインワン牛舎です。
牛舎内は採光性が高く、十分な明るさです。
この牧場では、カーテン、煙突換気、トンネル換気用換気扇の組合わせで換気を制御しています。
トンネル換気は日本でも普及していますが、夏は上手に換気できても、冬の結露対策が出来ないという場合があります。
ここでは、暖かい時期はトンネル換気、厳寒期はカーテンと煙突換気による自然換気で、断熱と除湿をコントロールしています。このシステムで、外気温マイナス9℃でも、牛舎内は暖房設備を使わずに7.3℃を保ち、結露や凍結も一切起きていませんでした。
■搾乳牛群:フリーストール・ミルキングパーラー搾乳(150頭)
既存のオープンリッジ牛舎を増築する際に、天井の断熱と換気システムを導入した牧場です。換気に加えて、採光も重要視し、天井採光パネルとLELY自動照明システムL4Cを組み合わせています。
この改造で、オープンリッジの時に悩まされていた、牛舎内気温がマイナスになることによる凍結トラブルが、解消されたということでした。
北海道であれば、暖房設備がついて当然のところが、いずれの牛舎も暖房設備を設置せずに5℃以上を保ち、凍結や結露は発生していませんでした。
実際に視察することで、夏の猛暑対策から、極寒地域の凍結対策まで、幅広い環境に対応でき、牛舎環境を向上できるシステムということを確信しました。
興味のある方は、日本国内での視察も可能ですので、お気軽にお問合せ下さい。
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