市川牧場様(北海道厚岸郡)
■搾乳頭数:93頭(乾乳牛:12頭)
■育成頭数:100頭
■労働人数:3名
■耕作面積:55ha
2002年に繋ぎ牛舎・パイプライン搾乳から、搾乳ロボットへ順次入替された市川牧場様。2006年に酪農専門誌DAIRYMAN(株式会社北海道協同組合通信社・デーリィマン社発行)が取材させて頂きましたが、導入から約10年が経過した、市川牧場様で再びお話をお伺いしました。
【導入実績】
2002年 9月 アストロノートA2 1号機導入
2003年12月 アストロノートA2 2号機導入
※当インタビューの製品は、搾乳ロボット旧型モデルとなります。
ロボット1号機を導入する前は、つなぎ牛舎で経産牛60頭のうち搾乳牛45頭を搾っていました。搾乳ロボットを導入した動機は、省力化の達成と高能力の牛を伸ばすためです。周囲のミルキングパーラーを見ても、100頭以上になると、朝晩の搾乳作業には雇用労働を使っています。その点、搾乳ロボットだと雇用労働に頼らなくても作業ができる。
もう1点重要なことは、牛の能力を引き出せること。能力の高い牛が多かったので、搾乳ロボットにして多回搾乳が実現すると、約3割の牛は乳量が増える自信がありました。
レリーは、普及台数が多いので、安心できました。メンテナンス体制が重要ですが、うちはコーンズ・エージーの支店が近く、専門技術を持ったスタッフが揃っていたので、レリー以外は考えられませんでした。
近くでアストロノートの導入農場も見学しましたが、導入から2〜3か月で、きちんと搾乳していたので、機械の性能については心配していませんでした。
方法は何も変えていないのですが、牛が変わってきて、乳量が増えています。現在、1号機で搾っている牛群の平均日乳量は、37.4kgで6年前より3kg程増えました。2号機の牛群の平均日乳量は、38.6kgです。自農場で高能力の牛から受精卵を採って増やしているので、高い能力の牛が揃ってきています。
特に、蹄を見るようにしています。蹄浴は、1週間続けて3週間休むサイクルで、月に1回行っています。他には、牛の毛艶や糞の状態を見て、全体的に糞が柔らかいかな?と感じたら、餌の内容を見直しています。
牛のコンディションでは、ミルク成分中の"MUN"に気をつけて、バルクのMUN数値が13 mg/dl前後になるようにしています。
乳量の変化が、毎日見られるのがいいですね。乳量がいきなり下がったりすると、調子が悪いとすぐに判断できるようになりました。乳伝導率のアテンションリストをチェックして、体細胞数の変化も毎日チェックしています。
繁殖管理も全てソフト上で行っているので、授精日を入力し、牛群台帳として活用しています。
能力の高い牛は、何も問題がないんです。獣医にかかったことがなく、繁殖の成績もいいので、あらゆる面においての能力が高いんだと思います。3産目で年間の個体乳量が20,000kgを越えた牛もいますが、特別なことは何もしていないので、牛の家系だと思います。
我が家では、ロボット2台で100頭前後を搾る今の規模が最適だと思います。アメリカでは10台を導入して600頭搾っている農場もあるそうですが、そうなると雇用が必要になりますよね。家族だけで経営していくなら、2台が1番いいのではと感じます。
1番の導入メリットは省力化ですね。雇用をしなくていいので。あとは、乳量が出るようになり、出荷乳量も伸びました。
出産直後に、バケット搾乳をする位で、他の機械は使っていません。乳頭がクロスしている牛も、乳房炎の牛も今はいません。淘汰もありますし、改良もありますが...乳房炎の牛は前から少ないのですが、去年からはいなくなりました。
ベットは、1日3回こまめに清掃しています。
あとは、餌でしょうか?サイレージの水分を落とすように心掛けていますが、出来上がりは良いようです。
給餌は、自動給餌機(ムーラップ社スマートフィーダー)で、1日7回給餌をしています。弱い牛も新鮮な餌を食べられるので、非常にいいです。頻回の餌寄せと搾乳は相乗効果が高いので、セットでの導入がいいと思います。
牛舎の通路にマットは必要ですね。その他に、私の農場では牛舎内に照明を設置して、夜10時から朝5時以外は、常に牛舎を明るくしています。それが、乳量増加に効果があるのかもしれません。
あとは、搾乳ロボットを導入するからには、牛を改良するつもりで始めた方がいいのではないかと感じますね。