コーンズ・エージー Quality   Innovation




SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS

地域とともにSDGs達成に向けて
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ミルキングマネジメント

『搾乳』への取り組み

搾乳ロボット「アストロノート」を製造しているオランダのLELYから、私たちが日本における代理店として認定され正式に契約したのは1997年に遡ります。当時、世界中の酪農は、人手による搾乳が前提だったため、酪農家には休日がありませんでした。そのような中、1995年にLELYがオランダで初代「アストロノートA1」を販売開始します。

酪農家の負担を大幅に軽減することができる搾乳ロボットは、その後ほどなくして、オランダを中心にヨーロッパで認められ始めます。そこで、私たちは視察団を組んで、搾乳ロボットの初号機の視察に向かいました。酪農家を「搾乳」と言う重労働と作業時間の拘束から解放して酪農家が笑顔になる状況を目のあたりにした当時の視察団は、「これは是非日本でも販売して、日本の酪農家を楽にしてあげたい」という情熱のもと、すぐさまLELYとの交渉を開始し、世界でも比較的早い段階で私たちは搾乳ロボットの事業をスタートさせました。

1995年当時のアストロノートA1と最新機種A5

搾乳ロボットを導入するということは、酪農現場を大改革するとともに大事な搾乳作業を機械に任せるということです。人手を介することによってのみ行われていた搾乳作業にあって、日本第1号機を導入して頂いたお客様は勇気のいる決断と将来を見据えた挑戦をされたと思います。私たちのそばで試運転を見守っていた奥様が「アストロノート」で搾乳されている牛をご覧になって、「これからは家族で旅行に行けるね」と笑顔でお話をされていた時、私たちの仕事に確かな使命感が芽生えました。

しかし、「アストロノート」はこれまでの搾乳に対する考え方を180度変える商品であるがゆえに、その後、日本国内では遅々として導入が進みませんでした。「牛が勝手にロボットに入るわけがない」と思われている方々が圧倒的に多く、加えて「酪農家は自分で搾乳しなくてはならない」という考え方が支配的だったためです。

アストロノートの販売開始からロボット搾乳が日本で認められるまでの10年間は試練の連続でしたが、導入していただいたお客様から「家族で旅行に行けるようになった」、「これで大好きな酪農を続けることができる」などの温かいご声援を受け、「自分たちの信念を曲げることがあってはならない」という覚悟で、全国各地の農協や生産者の皆様への普及活動の日々が続きました。

搾乳ロボットの事業を開始した当時の販売台数は年間10台~20台を推移するに留まりましたが、2015年に大きな転機が訪れます。縮小均衡する先進国の国内市場からグローバル市場経済圏への移行です。TPPと日欧EPA協定により国内の酪農現場は早期に足腰の強い基盤拡充の必要性に迫られました。また、グローバル経済への大転換期と併せて少子高齢化、都市部の人口一極集中などを背景とした地方の労働力不足と酪農現場の長時間労働の問題が顕在化し、この複合する大きな課題解決に向けて国の支援事業が導入されたことによって販売台数は飛躍的に成長することが可能になったのです。年間の販売台数は一気に100台を超え、国内の生乳生産の減少に歯止めをかける一助となった私たちの仕事、そして導入して頂いたお客様の笑顔を見るたびに、これまでやってきたことが間違いではなかったと再確認することができました。

この大きな喜びとともに私たちの企業としての存在理由がますます高まっていること、そして社会的な責任を負う企業であることを深く認識しています。搾乳ロボットを販売させていただくということは、長期間にわたりお客様の大切な乳牛をロボットが搾乳し、その中で得られる多くのデータに基づく飼養管理を実践して頂くことが必要となります。このため、導入後の定期メンテナンスと緊急サービスは欠かすことができません。そしてこのサービス品質を国内の各事業所で維持するためには、LELY独自の厳しい試験に合格した認定資格を持つエンジニアの育成、24時間365日切れ間なく迅速に対応することができる組織体制が必要となります。

搾乳ロボットの販売が好調であること同時にこの事業に適性をもつ多くの認定エンジニアの育成が急務となっています。お客様から頂く感謝の言葉にやりがいを感じる社員が日本の酪農を支える獅子となって次世代の酪農をリードする日が必ずやってくると信じています。

LELYの搾乳ロボット「アストロノート」の最新モデルA5は、従来型に比べ、大幅な省エネルギーを達成しています。これはロボットアームの制御を空気圧のみで行っていた前モデルに対し、A5は電気制御と空気圧制御を連動させ、空気圧の消費を大幅に抑えることが可能となったためです。LELYテスト導入農場での結果報告によれば、エア消費量は従来モデルに比べ85%削減、ロボット単体でのエネルギー消費は20%削減されています。

ロボット搾乳では、搾乳の自動化のみならず、個体情報の集積、乳質、健康、飼養、繁殖など様々な牛群管理を一括で行えることもメリットです。個体の能力向上とともに微細なコンディションの変化も搾乳ロボットを通して可視化することができるため、疾病の早期治療が可能になり、個体や牛群の健康状態が向上することで、全体的な治療費の削減や乳量の低下をさせることなく健康な牛群維持が可能になります。

また、LELYの商品開発コンセプトは、常に「牛」が中心となっています。その象徴的なものとして、LELY独自のIフロー構造があります。これは、牛が搾乳ロボットに進入して搾乳・退出まで直線で移動できる構造で、ロボット内に牛が斜めに入り搾乳後も斜めに退出する構造(Kフロー)と比べて、牛のストレスが格段に少ないということが証明されています。また、Iフロー構造は、搾乳にかかる時間の削減も実現できるため、ロボットの搾乳能力(一日にロボットで牛の搾乳が可能な機会)も向上します。

直線的に進入し、搾乳後直線的に退出できる、Iフロー構造
開放的なアストロノート構造

加えて「アストロノート」の導入に際しては、フリーカウトラフィックを中心としたレイアウトを採用します。フリーカウトラフィックは、ロボット前や横断通路に障害物を設置することなく、牛がストレスフリーで自由に往来し行動できるスペースを確保し、ロボットでの搾乳から飼槽での採食、そして飲水、横臥行動を牛の意思によって自由にさせることができるレイアウトです。これにより牛本来の自然な行動を妨げることなく、個体間の不要な接触を防ぐことができるため、ストレスフリーな牛舎環境を実現することができます。

フリーカウトラフィック牛舎イメージ。

LELYでは、「Sustainable, Profitable and Enjoyable Future in Farming」(持続可能で収益が上がり、楽しめる未来志向の酪農)というビジョンを掲げており、酪農生産を持続していくために革新的なソリューションを生み出してしていくことをミッションとしています。搾乳ロボット「アストロノート」は、技術革新を続けながら常に先進的で洗練されたモデルが開発されており、餌寄せロボットや自動給餌機など搾乳ロボットとの相乗効果を最大限発揮できる製品開発と企業ミッションは酪農分野における稀有な存在として異彩を放っています。今後も持続可能な酪農経営に貢献する様々な自動化機械の開発を予定しており、『Grass to Gas』実現のためのパートナーとして、私たちは良好な関係を発展させていきます。

SDGsへの取組み



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